※この記事は過年度である平成30年補正(2019年実施分)の記事です。
最新版(2020年実施分)はコチラを参照ください
補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か
その2.:将来の展望(本事業の成果の事業化に向けて想定している内容及び期待される効果)
b.本事業の成果の事業化見込について、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格について簡潔に記載してください
先ずは、「2.将来の展望」の直下に箇条書きで記載していく
この審査項目に対応しているのは「2.将来の展望」
先ずは事業化後の姿を箇条書き等で簡潔に示すことで、審査員に簡潔に事業化後の目論みを伝えましょう。
以下のようなものが考えられます。
- 事業化時期(量産化・売上計上開始の時期)
- 事業化○年間の売上と収益
- 売上単価と粗利単価
- 想定している販路
- 投資回収期間
- 将来展望(年度ごとのヒトや組織の状況)
- その他
先ずはこれらをザックリと伝えた上で、審査項目である価格的・性能的な優位性や収益性を記載していきましょう
次に、前半の文章の「価格的な優位性・収益性」「性能的な優位性・収益性」について考えてみます。
価格・性能のマトリックスで自社の商品を整理してみる
前述では「価格」「性能」で分解しましたが、価格と性能は切り離して論じることは出来ません。
一般的に価格と性能は反比例の関係性を保っているからです。
※ちなみに性能は、「商品の品質」という狭義の意味で捉えると見誤ります。納期短縮や信頼面の強化等、性能面以外の論点、つまり「顧客要望に対する提供価値の大小」と読み替えましょう。
ということで、先ずは自社が開発する製品・サービス・技術の販売にあたり、「想定売価」と「性能」という観点でマトリックス等で整理する方法が考えられます。
当たり前といえば当たり前ですが、基本的には青色の部分が事業として成立するエリアとなります。
とはいえ、価格が高すぎると購入に至らない可能性も高まりますし、逆に無用な値引きは収益性を圧迫するだけです。
この部分の妥当な価格設定を行うことが求められますね。
価格的な優位性や収益性とは
先ず、価格面で書くべきことは、顧客に対して幾らで販売していく予定なのか、という売上単価でしょう。
こちらについては、「2.将来の展望」部分の冒頭に箇条書き等で記載しておくと共に、文章内でもその価格設定の根拠等を記載していきましょう。
「収益性」というキーワードも出ていることから、売上単価の他に粗利単価も記載しておいたほうが良いですね。
優位性に関しては、基本的には他社との性能面も勘案した上での比較ですから、一概に論ずることはできません。
つまり、価格に関しては、単に他社と比べて「高い」ということが、優位性が低いという判断にはなりません。
性能面との折り合いをつけた値付けをしているかどうかが論点となりますので、性能面を勘案した値付けを行えているかという視点で記載していきましょう。
そして、「勘案」という意味で考えたとき、重要なことはやはり「顧客に聞いてみたか」だと思います。
性能・価格の両面で顧客が納得する商品・サービスを提供しなければ、事業は成立しません。
逆に「顧客の生の声」を活かした性能・価格を含んだ商品開発であれば、誰も異論は唱えないものとなります。
「価格的な収益性」に関しては、どの程度の収益性を確保できるのか、ということになりますが、比較対象としては、同業種での標準的な収益率や、これまでの既存事業での収益率と比較して、それよりも高い収益が確保できていれば、一先ずは収益性が高いと言うことはできそうです。
また事業化面④では「費用対効果」が高いか、という点が求められていますので、補助事業に投じる総額コストに対して、どの程度で投資額が回収できる事業になるか、という視点での記載もしておいたほうが良いでしょう。
性能的な優位性は極力数字で記載する
性能面での優位性については、他社やこれまでの自社と比べた上で、どう高くなるのかという視点で記載していきましょう。
この際のポイントは、極力数字で示すことです。
単に、他社より(あるいはこれまでの自社より)良くなる、といったあいまいな表現は避け、数字で示すことのできるパラメーターがあれば、それを用いて説明していきましょう。
いずれにせよ、性能と価格は両輪の関係にあります。顧客が求めている仕様を満たした上で、妥当な値付け、妥当な収益性が保てるのかどうか、という視点で整理していくと良いと思います。
まとめ
性能を「顧客からの要求対応度」に読み替えて整理すると、これ自体は申請者の事業によって様々なものに整理できそうです。
これら性能を満たした新たな製品・サービスが、他社やこれまでの自社の取組と比べてどのように優位なのかを、価格面も含めて記載していく必要があります。
まとめ
- 価格や収益(粗利の程度)に関しては、「2.将来の展望」部分に簡潔に記載しておく
- 価格と性能は両輪の関係。まずはマトリックスで整理するなどして、自社商品の立ち位置を確認する
- 性能は「顧客からの要求対応度」に読み替えて整理し、他社やこれまでの自社と比べてどうか、の視点で記載する
- 高い性能を保持しつつ、妥当な価格設定をしているかが前提。高すぎても安すぎてもダメ
- 妥当性を確認するのに最も有力なのは「顧客の声」。顧客の声の中には、性能面・価格面の話もあるはず。
- 本当に顧客の声を活かした開発なのであれば、顧客に対しては妥当な製品開発となっているはずである
- 自社の収益性に関しては、同業種の他との比較や、自社既存事業との比較が考えられる。
- 費用対効果が高いという点も説明しておくことで、補助事業の見込成果の程度も伝えておくと良い
価格と性能は密接に結び付くものです。「顧客の生の声」を活かした設計がなされているかを確認し、他社との比較も行いながら記述していきましょう。