いきなりですが、この審査項目はものづくり補助金の核心をつく審査論点です。
特に「革新的」とは何を指しているのか、という点について理解しておく必要があります。
以下が審査項目。
新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。
なぜ核心をついた審査論点かというと、そもそもこの審査論点を満すテーマのみがものづくり補助金の主旨に沿った事業計画になり得るためです。極端な言い方をすると、これ以外の審査論点はその枝葉と考えていただいて結構です。
さて、公募要領を確認すると、後段には以下のように補足されています。
※大多数の申請者には関係のない「グローバル展開型」はいったん無視して以下説明に進みます。
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」(経済産業省[外部サイト])
「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」(中小企業庁[外部サイト])
昨年度まで前者は「革新的サービス」、後者は「ものづくり技術」というタイトルで整理されていましたが、今年からはこの文言が消え、さらにそれぞれが2つに分解され合計では新たに4類型での整理になっています。
この4類型の内、自社が取り組む事業はどれが最も近いのかを選択する必要があります。赤枠の下にあるそれぞれのチェックボックスは自社に該当する取組みであれば複数チェックができます。
なお、自社の取組がどれにあたるのかについて迷われた方は、以下の記事をご参考ください。
※記事は昨年度版のもので、名目としては「革新的サービス」「ものづくり技術」という名称整理で記事を書いていますが、どれを選択するかという意味では特に影響はありません。さて本文部分に戻りますが、これイマイチ理解しにくい文章ですよね。
新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。
その理由はおそらく以下の2つです。
- ()カッコ書きが2つ存在しており複雑にみえる
- そもそも単語の意味が解らない
先ず前者ですが、この文章には大カッコの中にもうひとつ中カッコがあり体系化されています。複数のカッコで整理されていることで複雑に見えます。
後者については、「革新的な開発」や、カッコ内にある「既存技術の転用」「隠れた価値」とは何なのか、また「アイデアの活用等」の「等」とはいったいどこまでの範囲のことを言っているのか、明確な理解が出来そうにありません。
結論的にいうと「等」と書いてしまっている時点で、「その他それっぽいもの全て」という意味になります(笑)
よって、この点についてはさほど気にしなくても大丈夫です。
()カッコは無視して概略を捉える
よってカッコ内は無視して理解していきましょう。
()カッコを無視するとこうです。
「新製品・新サービスの革新的な開発となっているか」
どうでしょう?多少は簡単に見えませんか?
ただ、やはりこのままでは明確に意味は解りません。
そこで、先ずはこの文章中に存在する単語である「新製品・新サービス」と「革新的な開発」の関係を、事業の全体像を図示しながら説明してみたいと思います。
新製品・新サービスについては、ここでは「理想の姿」とまとめています。
そして「革新的な」と「開発」を分解しています。
このよう整理すると「開発」つまり補助事業自体は、あくまでも革新的な理想の姿を実現するための「手段」であるということが解ると思います。
設備導入は手段、それ自体に革新性を求めていない
そうすると重要なのは「理想の姿」である「新製品・新サービス」自体に革新性があるかどうか、と考えるほうが妥当でしょう。
つまり、「革新的な開発」とは、
「革新的」である理想の姿に向かって「開発」を行う
という理解で良いと思います。
課題を把握し、具体的な解決策に落とし込む
全体の構図に話を戻します。
先ず新事業には「理想の姿」があるはずで、それに対して「現状」が存在します。この「理想の姿」と「現状」とのギャップが「問題」です。
「問題」は状態そのものを指しているので、それを克服する必要があります。
これに対応するのが「課題」(こうするべき、こうあるべき)です。
そして、課題を克服して理想の姿を目指すための具体的な行動が「解決策」となります。
※この「課題」や「解決策」は、後に続く技術面②及び③の審査論点にそのまま関連するので、先ずはこの構造を理解しておくことが重要かと思います。