【2次からの変更点】事業再構築補助金3次公募の概要

本日、7月30日(金)から事業再構築補助金の3次公募が始まりました。

公募期間や申請枠、対象要件など、特に2次公募から変化のあった点に特化して簡単にまとめておきたいと思います。
※前提として申請事業者は、ほぼ全ての事業者が対象になる「中小企業」としており、「中堅企業」の情報は割愛しています。

公募締切は9月21日(火)18時まで

申請受付は令和3年8月下旬予定。締切は9月21日(火)18時までとなります。

引き続き電子申請のみの受付。必ずgbizIDプライムの取得が必要です。

補助対象経費の変更はなし

事業再構築補助金3次公募において、前回からの変更はありませんでした。

建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、海外旅費(卒業枠、グローバルV字回復枠のみ)

事業再構築指針・類型の変更もなし

手引きには修正が入っていますが、大元の指針に変更はありません。
よって申請類型もこれまでと同様です。

① 新分野展開 中小企業等が主たる業種(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいう。以下同じ。)又は主たる事業(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類以下の産業をいう。以下同じ。)を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいう。
② 事業転換 中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。
③ 業種転換 中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいう。
④ 業態転換 製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう。
⑤ 事業再編 会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことをいう。

引き続き事業再構築指針の各条項をキッチリと満たすことが最重要となります。

事業再構築指針

事業再構築指針の手引き

補助額・補助率・申請要件・達成要件

ザックリと一覧表にしてみました。
3次公募では、これまでの「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」に加え、従業員の賃金維持や従業員の増員を計画する事業者向けの枠も追加されています。

  • 「最低賃金枠」:大幅に売上が下がっているにも関わらず事業所内最低賃金を上回って賃金を支給している事業者
  • 「大規模賃金引上げ枠」:最低賃金の大幅引き上げに加え、従業員人数を増員する事業者

が追加されています。

申請枠補助額補助率申請要件達成要件
通常枠100万円~8,000万円2/3①及び②のいずれも満たすこと
①コロナ以前(2019年1月~2020年3月)に比べコロナ後(2020年4月以降)の連続する6か月のうち任意の3か月の売上合計が10%以上下がっている
②コロナ以前に比べ、2020年10月以降の連続する6か月のうち任意の3か月の売上合計が5%以上下がっている
【A】付加価値額年率平均3%、または一人当たり付加価値年率3%の事業計画を策定すること
大規模賃金引上枠8,000万円超~1億円2/3【通常枠と同じ】通常枠の【A】を満たしたうえで、
①事業所内最低賃金を年額45円以上の水準で上げ、かつ、
②従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%)増員すること
卒業枠6,000万円超~1億円2/3【通常枠と同じ】通常枠の【A】を満たしたうえで、
3~5年の事業計画期間内に、事業再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかより、資本金または従業員数を増やし、中堅・大企業に成長すること
グローバルV字回復枠8,000万円超~1億円1/2①及び②のいずれも満たすこと
①コロナ以前(2019年1月~2020年3月)に比べコロナ後(2020年4月以降)の連続する6か月のうち任意の3か月の売上合計が15%以上下がっている
②コロナ以前に比べ、2020年10月以降の連続する6か月のうち任意の3か月の売上合計が5%以上下がっている
付加価値額年率平均5%、または一人当たり付加価値年率5%の事業計画を策定すること
緊急事態宣言特別枠100万円~1,500万円3/4【通常枠と同じ】
加えて、以下(ア)(イ)のいずれかを満たすこと
(ア)令和3年1月~8月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること
(イ)(ア)を満たさない場合は、付加価値額が同様の比較で45%以上減少していること
通常枠【A】と同じ
最低賃金枠100万円~1,500万円3/4【通常枠と同じ】
加えて以下(ア)(イ)のいずれかを満たすこと
(ア)2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること
(イ)(ア)を満たさない場合には、2020年4月以降のいずれかの月の付加価値額が対前年又は前々年の同月比で45%以上減少していること
また、2020年10月から2021年6月までの間で、3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
通常枠【A】と同じ

補助額は従業員数により上限額が異なる仕様に変更

これまでは、通常枠で最大6,000万円の補助額でしたが、上限額が8,000万円に引き上げられています。
一方で、従業員数の少ない事業者さんは最大で4,000万円と、従業員数別の補助額の設定へ変更となりました。

【通常枠】

※補助額が6000万円を超える部分は補助率は1/2。

【緊急事態宣言特別枠】【最低賃金枠】

※緊急事態宣言特別枠は2次公募と同様で一般枠よりも少なめな補助額の設定を引き継いでいる。また、新たに新設された【最低賃金枠】もこの設定

なお、これにより【通常枠】においても従業員の数を示す従業員名簿の添付が必要となります。

売上減少要件の緩和に加え、付加価値額減少でもOKな仕様に変更

新型コロナの影響を受け売上が下がっていることが要件であった事業再構築補助金。
これまでの仕様(通常枠)は、コロナ前(2019年1月~2020年3月)と比べ、コロナ後(2020年10月以降の連続する6か月)のうち、任意の3ヵ月の合計売上額がコロナ前の同3ヵ月と比べ10%以上下がっていること、でしたが、売上が下がったコロナ後の月が2020年4月以降と、拡大されています。
コロナ前とコロナ後を比較するという意味では、当たり前の仕様に変わったという見方もできますね。

ただし、さすがに直近でかなり盛り返している事業者は対象外にしたいのか、比較的直近の売上においても下がっていることが要件に加わっており、2020年10月以降の連続する6か月のうち、任意の3ヵ月合計売上は5%下がっている必要があります。

ただ、元々は2020年10月以降で同10%下がっている必要がある仕様だったので、結果的には緩和ということになります。

また、売上が回復し売上減少要件は満たさないが、引き続き利益が上がっていない事業者の救済策として、売上減少要件に替えて、付加価値額減少要件が追加されています。

【売上減少要件と付加価値減少要件の関係】
売上減少要件を満たせない場合、付加価値(オレンジ)減少要件を満たせばよい仕様に変更

緊急事態宣言特別枠に加え、大規模賃金引上げ枠も優遇採択

これまで「緊急事態宣言特別枠」での応募は優遇採択されていました。実際1次公募時においても通常枠の倍近くの採択率(6割強)だった訳ですが、大幅に賃金を上げ、かつ従業員数を増加させる「大規模賃金引上げ枠」に関しても優遇採択になります。

引上げられなかった場合は補助金を一部返還

大規模賃金引き上げ枠では、上記一覧表にも記載したとおり、以下2点の達成要件が設定されています。

  • 事業所内最低賃金を年額45円以上の水準で上げる
  • 従業員数を年率平均1.5%(初年度は1%)増加させること

前者はこなすことが出来るかも知れませんが、後者は新たに人員を採用する必要があるので、ハードルが高いと思われる事業者さんも出てきそうです。

また、この要件を結果的に満たせなかった場合は、【賃金引上げ枠】で受給した補助額から【通常額】でもらえていたであろう額を差し引いた差分を返還する必要があります。

【最低賃金枠】は申請要件さえ満たしていれば加点

こちらは優遇採択ではなく、単なる加点対象となります。
補助額と補助率は【緊急事態宣言特別枠】と同じなので、いずれの枠でもいけるのであれば優遇採択される【緊急事態宣言特別枠】で申請したほうが良いですね。

まとめ

多くの方が申請されるであろう【通常枠】に関して、大幅な修正はありませんでしたが、従業員人数ごとに補助上限額が異なる仕様となったことから、従業員名簿の提出が必須となります。申請要件については、売上減少要件が若干緩和となり、前回まで申請できなかった方(特に2020年後半から売り上げが回復傾向になった事業者さん)への救済措置が取られています。

また、今回新たに新設された【大規模賃金引き上げ枠】【最低賃金枠】。これらはいずれも人員に関係する枠ですが、【大規模賃金引き上げ枠】増員や賃金アップという積極策を取る事業者に対する【優遇】であることに対し、【最低賃金枠】売上減少幅が大きいことに加え、人件費が重しになっている事業者に対する【加点措置】であり、性格が異なる枠であることがわかりますね。

 

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