みなさん、こんにちは。

令和元年(2019年)1226日に中小企業庁から発表されているとおり、今年のもの補助は3月頃から開始されることがほぼ決定しています。

※正確には、現時点では閣議決定済という状態で、最終的には1月の国会での予算案の可決が前提ですが、これまで覆されたことはないので確定とみて大丈夫かと思います。

 さて、今回のものづくり補助金に関する情報ですが、既に国からいくつかの資料が公開されています。

これらの資料から見て取れる内容と、僕が別途中小企業庁に確認した内容をあわせて、前回からの変更点について記載しておきたいと思います。

現在(2020年1月15日時点)判明している範囲でね。追加・修正があれば随時追加していくよ

 

単年予算から長期(3か年)予算へ変更された点はプラス要因

今回の予算付けは3か年を前提にしています。なので少なくとも今後3年間はもの補助は継続することになりそうです。

これまでは単年度の補正予算として予算付けがされていたことから、次年度以降にもの補助の予算が付くのかどうかが常に分からない状況でした。

これだと、直近年度に必ずしも必要でない設備であっても「とりあえず申請してみて、採択されたら導入しよう」というバイアスがかかりますよね。

本来は将来計画が先にあり、それに向けて補助金制度が当てはまるのであればチャレンジしてみるというのが正しい姿ですが、単年度予算だとどうしても「今年で終わるかもしれない。制度があるうちに申請しなければ」と、安易な判断に基づいた計画になってしまう事業者も多かったのではないでしょうか。

今回はこの部分が改善されたということだと思います。 

二次公募以降の公募スケジュールも当初から公表される可能性あり

実際、経済産業省が2019年12月13日の閣議決定を受けて発表した「令和元年度経済産業省関連補正予算案PR資料」ではこのように書かれています。

通年で公募し、複数の締め切りを設けて審査・採択を⾏うことで、予⾒可能性を⾼め、⼗分な準備の上、都合のよいタイミングで申請・事業実施することが可能になります

とありますね。

 昨年までは、一次公募分の採択発表を終え、その数週間後に二次公募の公募内容が発表され公募開始という流れでした。

今年も昨年までと同様の流れであれば、採択発表後に次回の公募内容が公開される可能性はありますが、上記の書きっぷりを見ると、3月の公募開始時に、あらかじめ先に行われる公募内容が公開されることも考えられます。

2020115日現在、中小企業庁に確認したところ、その点はまだ検討中ということでしたが、僕の予想では、あらかじめ先の公募内容(公募期間)も公開されるのではと考えています。

【2019年1月25日更新】
2019年1月20日からものづくり補助金事務局の公募が始まりました。公募資料によると、今年は年4回程度の公募がありそうです。
詳しくは、以下関連記事をご確認ください。

補助事業期間はこれまでよりも伸びそう

補助事業期間の短さは、現状のもの補助の大きな弱点でした。

導入する設備によっては、発注から納品まで半年以上かかるものもあると思いますが、これまでは(バラつきがあるものの)補助事業期間は決して十分と言えるものではありませんでした。

例えば、直近年度である2019年実施の2次公募分の補助事業期間は、採択発表(2019年11月5日)以降に順次決定する交付決定日から2020年1月31日までと、最長でも2か月強といった補助事業期間でした。

発注後に製造される設備やワンオフの設備等を導入予定の事業者からすると、かなり無理目な事業期間ですよね。

今回3か年予算になったことで、少なくともこれまでよりも長期の事業期間が設定されると推測され、設備の都合で不利を被る可能性が少なくなるものと思われます。 

3か年予算の配分は今のところ不明

今回、経済産業省では「中小企業生産性革命事業」として、3か年で3,600億円の予算を計上しています。

経済産業省関係令和元年度補正予算案PR資料31P

今のところ、この予算を各年にいくらずつ配分するのか、またその中で、ものづくり補助金にはどの程度配分されるのか公表されていません。※中小企業庁にも確認しましたが未定とのこと

 参考情報としてですが、昨年の予算枠は単年で1,100億円、もの補助への配分は800億円でした。

今回の3か年予算である3,600億円を3で割ると1,200億円。となると、もの補助への配分が前年同様であれば、概ね昨年と同様の予算が組まれるのではないかと推測されます。 

【重要】対象要件(必須目標)は大きく様変わり。人件費の向上が必須要件に

ここは前回から大きく変更があった点です。

 基本的にものづくり補助金は3年~5年の事業計画であり、一定の計数目標を達成することが対象要件となっています。

この対象要件である計数目標ですが、前回までは「経常利益年率1%、付加価値率年率3%」の2点が計数目標でした。

しかし今回からは、新たに人件費に関する目標値が設定され、こちらも同時に満たしていることが条件となっています。

要件については、人件費の項目も含め、中小企業庁公表のチラシに端的に記載されています。

予算・税制改正のポイント資料「ものづくり補助金」,中小企業庁

 

それぞれ順番に見ていきましょう。 

要件①経常利益年率1%の向上は廃止。付加価値額3%のみに変更

今回から経常利益の目標伸び率が廃止され、付加価値額のみの目標設定に変更されました。

参考までですが、経常利益と付加価値額は以下の算定式で定義されています。

定義の確認
  • 経常利益 = 営業利益 - 営業外費用
  • 付加価値額 = 営業利益+人件費+減価償却費

細かい話ですが、本来の経常利益算定式は(営業利益+営業外利益ー営業外費用)ですが、経営革新計画の定義を踏襲しているもの補助の算定式では上記のようになります。
※今後、経常利益の指標はなくなるので、もはやどうでもよいですね。

さて、後に記載する要件にも関係しますが、付加価値額の内訳には「人件費」が入っています。

付加価値の算定式は、それを見てわかるとおり、事業を推進して獲得する事業利益(営業利益)に対して人件費を足し戻していますね。

事業で獲得した利益を人件費として還元することで、増加した従業員の収入から発生する社会保険や住民税、それから、所得の増加による個人消費の増加という意味で、広く社会に還元される。

なので、「付加価値」という言葉で表現されているのですね。

 つまり、利益の伸び高はイマイチでも、人件費を高めることで付加価値自体が一定比率高くるのであれば、それはOKとしよう、という計数目標に切り替わったということです。

これは国の強い意図を感じます。 

要件②3年計画で4.5%アップ!給与支給総額は年率換算で1.5%向上させることが条件

そしてここからが重要なポイントになるのですが、今回から給与支給総額を年率換算で1.5%アップさせることが必須要件に加わります。

一人当たりではなく「給与総額」ですから、毎年従業員を追加採用しているような中小企業であれば比較的クリアは容易かも知れません。しかし、増員計画のない事業者であれば既存の従業員の給与を年率で1.5%アップする必要があります。

仮に年間の平均給与支給額を中小企業のザックリとした平均額である400万円とすると、3年後には4.5%の18万円を追加した418万円が平均支給額となる必要があります。

従業員30名の事業者だと540万円/年、50名だと900万円/年の人件費アップです。

結構な額ですよね。

給与支給総額に関わる明確な定義(給与支給総額の範囲、比較すべき期間や比較方法)は現時点では公開されてないよ。公募時に明確になると思うので要チェックだね。

計画のみならず実績も問われる(未達の場合補助金返還ルールあり!)

「令和元年度経済産業省関連補正予算案PR資料」ではこのように書かれています。

経済産業省関係令和元年度補正予算案PR資料31Pより抜粋加工

実は昨年まで、給与支給総額の向上は、必須要件ではないにせよ加点要件(基準を満たしていることで書類審査時に一定の加点がなされる)となっていました。

しかし昨年までは、あくまでも計画として給与支給総額を上げることを織り込んでいることが条件であり、以降の実績までは問うものではありませんでした。

 そのような意味からも、計画未達の場合の補助金返還要件が加わった今回の制度変更は、非常に厳しくなったといえます。

要件③事業場内最低賃金を地域別最低賃金の+30円へ

先に挙げた給与支給総額は、「既存の給与支給額からさらに上げよ」つまり既存の給与がいくらであろうと(そこそこの給与を支払っているとしても)それ以上に上げるような目標設定となっていました。一方、こちらは「最低賃金+30円」、つまり底上げを目的としています。

こちらは現時点で既に最低賃金+30円を満たしているのであればそれで達成となります。
※ただし、要件②も満たす必要がありますので、結果的に人件費は上がると思われますが。

なお 「事業場内」とあえて表現しているのは、最低賃金額は地域別・業種別に異なるためです。 

申請類型に若干変更あり、加点要件は存続するのか不明

 最も応募数が多く、これまで継続してきた一般型(最大1,000万円)は引き続き継続です。

予算・税制改正のポイント資料「ものづくり補助金」裏面,中小企業庁

一般型以外(多くの事業者は検討対象外)は、3月頃を予定されている一般型の公募開始以降順次開始されるようですね。
※ここでは割愛します。

申請類型によっても補助対象期間や補助対象経費に違いがありそうな気配

新たに新設されたグローバル展開型やビジネスモデル構築型については、その額の大きさや特性から一般型とは別の長期の事業期間、例えば複数年度に渡った事業期間で年度ごとに精算等、の制度設計もあり得そうですね。

また、ビジネスモデル構築型では補助上限1億円と、かなりの額が設定されています。補助率に「定額」とありますが、これが10/10(補助対象額の全額)を指しているのか、補助対象として申請された額に対して、個別に設定されるのかは、今のところ解りません。
※まだ中小企業庁にも確認していません。  

これまで加点要件であったその他の事業計画書に関する記載はなし

昨年までは、もの補助の申請書に加え、経営力向上計画や先端設備等投入計画、経営革新計画、事業継続力強化計画などの提出・認可を条件に、審査時に加点や補助率のアップ(通常1/2の補助率から2/3へ)がなされており、これがPR資料にも記載されていましたが、現時点でのPR資料では、これらに対する記載が消えています。 

1月もしくは2月の予算成立後にアップされると思われる最新のPR資料には記載されてくるかも知れませんが、今のところ記載が確認できないので、この点については何とも言えません。 

もの補助の申請方法は電子申請のみ!gBizIDプライムの取得を急げ

最後は申請方法に関する変更点です。

補助金申請システム「JGrants」

今回からは、このJGrantsを利用して電子申請作業を行うことになります。

前回までの電子申請は、もの補助専用のウェブサイトが用意されていた訳ですが、今回の電子申請からは、経済産業省が運営開始した、「JGrants」というプラットフォームサイトを通じて申請することになります。

そして、この「JGrants」で申請するためには「gBizID」という別サイトでgBizIDプライムのIDを発行しておく必要があります。

GBizIDアカウント発行ページ

「gBizID」が様々な行政サービスを利用するためのID発行ページで、「Jgrants」はその中でも、補助金関連の申請を行うページだという認識で概ね問題ないと思います。

gBizIDプライム取得には印鑑証明書の郵送が必要

詳しくは以下ガイドを確認していただきたいのですが、GビズID(gBizIDプライム)の取得にはウェブサイトからの登録に加え、印鑑証明書を郵送するという作業が必要となります。

電子申請化のために郵便で書類を送るという不思議な運用ですが、ルールなので仕方ないですね。 

ID取得に数か月かかる可能性あり

そしてこのIDですが、現在申請数が多くなってきており、事務局のほうで処理が積滞している模様。

IDがアクティブになるまでに3か月以上かかる可能性もありそうです。

過去のもの補助の公募期間の傾向を踏まえると、第一弾のもの補助の公募開始が3月であれば、締切は約2か月後の5月です。

まだまだ余裕がありそうですが、もの補助の申請を考えられている方は早めにGビズIDを取得しておいたほうが良さそうですね。 

【2020年1月20日追加】こちらにgBizIDプライムの取得に関する注意事項等をまとめました。

過去3年以内に採択を受けた企業は減点されます

最後ですが、過去3年間のうちに採択を受けた事業者に対しては減点処理がされるようです。

経済産業省関係令和元年度補正予算案PR資料31Pより抜粋加工

実際、毎年のようにものづくり補助金を受給している事業者は結構あります。
この理由ですが、仮説として以下が考えられます

  • 何度も申請を経験していくうちに、書類の作成自体にこ慣れてきたため、結果的に一定の品質の書類に仕上がっている
  • 審査項目である「実現可能性」(資金調達、補助事業の遂行体制)について、過去既に補助事業を実施している事業者であれば、仮に少々申請書の記載が粗くとも、審査員の採点時に、トータル評価としてプラスへのバイアスがかかる

個人的には、計画自体が革新的でしっかりとしたものであれば、何回目の申請であれ、評価はストレートに行うべきと思っていますが、なるべく新規の申請者に対してチャレンジの機会を与えるという点も悪くはないと思います。

まとめ

 以上、ザックリと今回のもの補助について、公開されている資料の範囲で前回からの変更点について説明してきましたが、申請者によって最も大きな変更点であり高いハードルとなるのは、やはり給与支給総額のアップ要件でしょう。

ものづくり補助金を、「元々検討していた設備投資を補助してもらえる、受かるとラッキーな制度」程度に考えている事業者にとっては難しいルールに変更されています。

1,000万円を補助してもらっても、上げなければならない人件費と天秤にかけるとトータルでマイナスになる事業者も出てくると思います。

ただ、純粋に投資対効果が出ない設備投資は失敗でしょうし、「革新的なものづくりやサービスの開発」を目的とした本補助金の趣旨に基づけば、給与を上げてもなお将来的に収益の上がる事業でないと採択する必要はないとも考えられます。そのような意味から、よりレベルの高い事業者の意思決定と事業計画が求められることは、トータル的にはプラスに作用するかもしれませんね。

 ということで、今後追加情報を入手次第、またアップします。

※人から伝え聞いた根拠のない情報は基本的に掲載しません。広く公開されている情報に加え、中小企業庁に直接確認した内容のみを掲載していきます。

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