※この記事は過年度である平成30年補正(2019年実施分)の記事です。
最新版(2020年実施分)はコチラを参照ください
技術面については、次の(2)技術面④で最後となります。
補助事業実施のための体制及び技術的能力が備わっているか
①~③までの技術面の項目の問いをザックリ振り返ると「革新的な開発かどうか」、「開発課題は明確か」、「補助事業の目標とその考え方はどうか」、「課題の解決方法の明確さ・妥当性・優位性」がポイントでした。
つまり、1.補助金を使って革新的なサービスや製品を生み出そうとする案件なのかどうか、という大前提の問いに始まり、2.開発を行うにあたり正確な課題認識や補助事業期間中の適切な目標設定を行っているか、そして3.解決方法自体は熟慮を重ね適切に選択されているか、という点を問われていました。
しかし、技術面最後の問いは少し毛色が異なっています。
そのポイントとなっているのは、体制と能力という面からの「実現可能性」です。
「うん、確かに解った。でも、それって実際出来るの?誰がやるの?」
といった質問ですね。
実際、 新たな取り組みを外部が確認・判断する際、この「実現可能性」は非常に重要となります。
いくら良いアイデアでも、実際に実行できないものでは意味がないですからね。
そういった部分を問われているのがこの問いです。
この記事の目次
体制とはどこまでの範囲を指しているのか
先ずは、「体制」について、全般的にここでお伝えしたいことを以下に図説します。
体制という言葉を聞いて、それが組織体制のことを指しているということは容易に判断できると思いますが、ここでお伝えしたいのは以下の3点です。
- 登場人物と役割の整理
- 体制には内部関係者と外部関係者が存在する
- 内部と外部をつなぎ合わせる流れができて初めて運用体制として成立する
ものづくり補助金で問われている体制は、上記要素を全て問われていると考えておいたほうが良いでしょう。
1.登場人物と役割を洗い出す
先ずは、この補助事業期間中に関係する登場人物とその役割を一覧表などの形式にして洗い出してみましょう。
誰が設備の発注を行うのか、設備導入時の検収者は誰なのか、設備稼働に伴う作業者は誰で何をするのか?
ここで重要なのは、補助事業期間中の作業を時系列で洗い出してから、担当を考えていくということです。
人数の少ない中小企業の場合、「社長と○○が全てやる」等、ヒトありきの考えから入ってしまいがちですが、ここに落とし穴があります。そのような考え方で済ませてしまうと、重要な「作業」の部分の思考がストップしがちになるためです。
※結論的に社長が全て行うこと自体は構いません。
先ずは時系列で作業を洗い出すことから始めて、その後に担当を決める手順をお勧めします。
2.内部体制と外部体制を整理する
次に、「体制」には、内部と外部が存在するということを挙げています。
補助事業を完遂するために参加する関係者は、社外にも存在するはずです。
設備の導入元の商社や、テスト稼働時のモニター顧客、指導を得る外部の専門家など、補助事業に関わる外部組織(または人材)は必ず存在するはずですから、それらについても整理しておきましょう。
設備導入のみで補助事業を完了する場合、外部組織は設備導入業者のみかと思いますが、その場合であっても省略せずに必ず記載していきましょう。
3.内部と外部のつながりを「流れ」として示すことで運用体制が完成する
そして、最後に示す必要があるのは、内部と外部関係者とが、補助事業期間中にどのように関係していくのかを示すことです。
設備導入のみで補助事業を完了する場合においても、少なくとも設備導入業者と自社との関わりは発生するはずです。
簡単な図説でも良いので入れておいたほうが、解りやすくなりますね。
この図では、当社に存在する個々の従業員は省略しています。
冒頭に示した図のように当社の従業員も入れた全体の体制図として示しても良いと思いますが、複雑になりそうであれば、外部との関係に関しては従業員まで入れずに、組織単位で記載しても解りやすいと思います。
※その場合は、別途社内体制に関して、少なくとも部署・氏名・役割を示した社内体制図を示しておく必要があります。
では次の論点である「技術的能力」について説明していきたいと思います。
技術的能力とは何か?
体制を示した後に問われているのが、この技術的能力です。
私自身、この技術的能力とは何を指しているのか、何を書いていけばよいのか、という質問をよく受けます。
結論的には、「技術的能力」とは、つまり補助事業を完遂できる「ヒト」の能力があるかどうか、のことだと考えます。
例えば、革新的なサービス・製品を実現するための設備を導入しても、その設備を使いこなすことが出来なければ実現できませんよね。
その点に関する問いであると考えていただければと思います。
以下のような回答が考えられます。
特に製造業の方からすると、使えるのが解ったうえで導入を検討していると思いますので、
「そんなの使えて当たり前じゃないか!」
と思われるかも知れません。
しかし、ものづくり補助金に申請する事業者には、ゼロから新規事業を開発していく事業者もいらっしゃいます。
また、審査員はみなさんの事業や体制に詳しい専門家ではありません。
そのように考えると、事業者側の視点からだと一見当たり前のように思える技術的能力でも、簡単な記述でも良いので、しっかりと示しておくことが必要です。
(2)技術面_④体制及び技術的能力のまとめ
ここでは、補助事業の体制と技術的能力について解説してきました。
この審査項目はそんなに難しい項目ではありませんが、それだけに記述漏れは絶対に避けたいところです。
まとめ
- 体制を考えるためには、先ず登場人物とその役割を時系列に整理する
- ヒトありきで考えると躓く可能性がある。必ず作業から洗い出す
- 体制には内部関係者のみではなく、外部関係者も考慮する必要がある
- これら、内部と外部をつなぎ合わせ、流れができて初めて運用体制として成立する
- 技術的能力は、新たな設備を使いこなせるかどうかについて、基本的なことでも良いので記載する
補助事業の体制に関してはこれらの点を意識して書いていくと良いと思います。