【事業再構築補助金】採択後の手続きで迷わない_交付申請前に押さえておくべき3つのポイント

B!
この記事でわかること
  • 申請書類(交付申請書別紙)のダウンロード方法
  • スムーズに申請を進めるための準備(専用フォルダの作成)
  • 交付申請時に必ず準備しておく必要書類・添付書類とそれぞれの注意点

2021年11月現在、3次締切分の採択発表を控えている事業再構築補助金。採択されるまでも大変ですが、その次に待ち受けているのは交付申請。事業再構築補助金では事前着手制度がありますので、事前着手承認を受けている場合は交付決定を待たず先に事業を進めることはできます。しかし、交付決定が下りていない状態だと最終的な事業完了報告に至ることは出来ず結果的に補助金は支払われません。よって、先ずは採択された場合は速やかに交付決定を受けることが必須です。

今回の記事では、スムーズに交付申請を進めるための注意点やちょっとしたコツ、手順について説明していきたいと思います。

2021年11月26日:youtubeでも解説動画をアップしました。
【認定支援機関が交付申請を解説】事業再構築補助金に採択されたらすぐに始める3つの準備

【2021年12月4日追記事項】

11月末に更新された「補助事業の手引き1.3版」にて、交付申請時のルールに変更があったため以下を記事に追記しましたに

  • 3次締切回以降の採択者は、建物に係る「宣誓・同意書」は別添提出ではなく、交付申請書別紙の該当シートに追記して提出する点
  • 「見積り」に加え「見積もり依頼書」の添付が必要な点

①交付申請書別紙のダウンロード「事業再構築補助金ホームページ」から

採択を受けた後、先ず最初に行う作業は交付申請書別紙(エクセルファイル)のダウンロードです。補助経費の修正など、当初の事業計画から変更がある場合は、適宜この交付申請書別紙を修正して交付申請を行うこととなります。

交付申請書別紙はこのようなエクセルファイルになっています。

画像は交付申請書別紙の「1.申請者の概要シート」

交付申請書別紙は、事業再構築補助金の応募時に電子申請時に入力した情報(会社概要、事業名、補助対象経費内訳など)がファイル内の各シートに分散記載されているエクセルシートになっており、ファイル名は【交付申請書別紙_Rxxxxxxxxxx】(R以降は各事業者の固有の番号)という名称になっています。

なお「別紙」とありますが、これ自体が交付申請書と思っていただいて差し支えありません。
先ずはこのエクセルファイルを「事業再構築補助金のホームページ」からダウンロードしましょう。

事業再構築補助金の公式ホームページTOPページを訪問し、オレンジの「申請方法」をクリック。
GbizIDとパスワードを入力するとログインできます。

オレンジの「申請方法をクリック」

 

ログインすると、このように採択結果と合わせて交付申請書別紙がダウンロードできるボタンが現れますのでクリックしてPCにファイルをダウンロードしておきましょう。

交付申請書別紙ファイルをクリックしてエクセルをダウンロードする

ここで間違いやすいのが、電子申請時にログインした「J-Grants」へ訪問してしまうことです。J-grantsは当初補助金応募時に同じくGbizIDでログインしたページですが、こちらはあくまでも電子申請を行うページですので、J-Grantsにログインしても交付申請書別紙はダウンロードできません。

②専用フォルダを作成しておくと整理がしやすくなる

これは必須ではありません。おすすめです。
実際交付申請を行う際には、交付申請書別紙の他に、各種見積もりを含む複数の添付書類をまとめてアップする必要があります。添付書類はケースによっては多岐に渡ります。これら複数のファイルを整理していく必要がありますので、それらを体系的に整理するための専用のフォルダを事前に作成しておくと、後から整理が非常に楽になります。

↓こんな感じ(例です)

フォルダ名の一例

このように各フォルダに番号を付けておくと手順ごとにフォルダが並びますので後からの検索性が高まります。ここでは01は当初補助金の申請時に用意したファイル類02は交付申請用のフォルダと整理しています。

そして先ほどダウンロードした【交付申請書別紙_Rxxxxxxxxx】のエクセルファイルは、交付申請用のファイルですから02フォルダに放り込んでおきましょう

ちなみに・・・
ダウンロードした【交付申請書別紙_Rxxxxxxx】のエクセルファイルは、電子申請する際には【交付申請書別紙1_Rxxxxxxx】と「1」を付けた名称にするよう電子申請マニュアルに記載されていますが、特段変更しなくとも問題ありません。「1」を付ける理由ですが、技術導入費・専門家経費・クラウドサービス利用費・外注費・知的財産権等関連経費を計上する場合においては、別途【交付申請書別紙2】という書類を提出する必要があるのですが、別紙2という書類もあるので同じく「1」についても付けて欲しいといった意味だと思います。しかし実際、別紙2を付ける場合においても、1とは全く異なる書類ですから、特段符号を打たずとも事務局のほうで把握可能。不備扱いにはならないようです(僕が支援してきた実績より)。ここはあまり深く考えなくとも大丈夫かと思います。

また、交付決定後の補助事業期間が全て終了したら最後には事業完了報告書の作成も必要になりますので、03には事業完了報告書というフォルダも先に作っておきましょう。なお、99は事業再構築補助金のホームページからダウンロードできる補助事業の手引きや各種参考ファイルを収納しておくと良いですね。

99に収納しておく各種ファイルは採択事業者向け資料からダウンロード

画像クリックで当該ページに遷移します

採択事業者向け資料からダウンロードできるのは「補助事業の手引き」「様式集(ZIP)」「参考様式集(ZIP)」、「交付規定」、「よくある交付申請時の不備」「J-Grants入力ガイド」、「実績報告書作成マニュアル」となっています。
全てダウンロードしておくのがベストですが、最低限黄色下線をのファイルはダウンロードしておくのがベターだと思います。

交付申請時に添付するフォルダ名称は受付Noを記載

次に、交付申請書フォルダの中身ですが、準備として以下のようにしておくとよいでしょう。

交付申請に必要なファイルとフォルダは以下の2点となります。

黄色フォルダは全ての添付書類格納後、ZIPファイルにして電子申請時にアップする

黄色のフォルダは各種添付書類を格納するフォルダとなります。このフォルダの名称は各事業者ごとに割り当てられたRから始まる受付番号とするルールになっていますので、交付申請書別紙ファイルの後半に記載されている番号で名称を付け、中身は空でも良いので先ずはこのフォルダを作成しましょう。
※最終的にはこのフォルダはZIPファイルに凍結してJ-Grantsにアップすることになります。

③添付書類の準備は慎重に

実際、J-grantsで交付申請を行うためには、基本的にはエクセルの交付申請書別紙の修正記載が必要なケースが多いのですが、その前に先ずは必要な添付書類を全て集めるところから始めておきましょう。
また、集めた各添付書類は全て【02_交付申請書】フォルダ内に作成した【Rxxxxxxxxx】フォルダに格納しておきましょう。

履歴事項全部証明書(法人)、確定申告書別表1(個人事業主)

必ず必要です。法人の場合に提出する履歴事項全部証明書は、後に電子申請で行う交付申請日から遡って3か月以内に発行された証明書が必要ですので日付には気を付けてください。個人の場合は直近の確定申告の確定申告書別表1を提出しましょう。それぞれスキャンしてPDFファイルにした後に【02_交付申請書】フォルダ内に作成した【Rxxxxxxxxx】フォルダに格納しておきましょう。

直近決算書の準備

交付申請時点で直近の決算が更新されている場合(例えば7月決算の事業者が9月に採択を受けた場合、交付申請を提出する10月頃には最新の確定決算は2020年7月から2021年7月期に更新されていると思います)、このような場合は最新の決算書の添付が必要です。
ちなみに個人事業主の場合も同様、最新の決算書(青色申告の場合は損益計算書のあるページ、白色の場合は収益計算書のあるページ)が必要です、2021年11月時点で採択されている事業者においては、基本的に直近決算は2020年12月期のはずで、既に応募時に提出済かと思いますので、交付申請のタイミングで新たに何かを添付する必要はありません。
なお、決算書の更新がある場合に関しては、同じくPDFファイルにして【02_交付申請書】フォルダ内に作成した【Rxxxxxxxxx】フォルダに格納しておきましょう。

建物費を計上している場合は「建物に係る宣誓・同意書」の添付が必要

この記事を執筆している2021年11月25日時点ではマニュアル類にはまだ記載されていないのですが、11月16日付けで事業再構築補助金HPのお知らせ欄にて、建物費を計上されている事業者向けの追加書類の提出ルールが定められています。

11月16日付けで掲載されている宣誓同意書のお知らせ

こちらについては、

【第 1 回・2 回採択事業者における建物費を計上される場合の宣誓・同意書の提出について】というファイルに詳細が掲載されています。なお、2021年11月25日時点では2次締切の採択まで終わっていますが、交付申請済の事業者に関しては別途事務局へメールで提出する運用となっています。一方、現時点で交付申請に取り掛かっていない場合は電子申請時に一緒にアップロードする運用となっています(事務局確認済)。おそらくもうしばらくするとマニュアル類にもこの記載が入ってくると思います。

宣誓同意書の書き方に関してはこちらに詳細を記載しましたので対象事業者さんはご参考ください。

3次締切回以降の採択者は、交付申請別紙に当該シートが追加!

【12月4日更新】
宣誓同意書は11月に追加書類として発表された書類であり、1次2次締切で採択された事業者は、別添として書類を作成する必要がありました。3次締切回で採択された事業者さんに関しては、エクセルファイルである交付申請書別紙の中に当該シートが追加されていますんので、交付申請書別紙の該当シートに追記して提出してください。

見積書の整理は非常に重要

これは事業者さんごとに種類が変わってくると思います。応募時に既に全て見積もりを取得されている事業者さんも多いと思いますが、それがそのまま通用しない場合があります。ここについて注意点を記載しておきます。

見積りは交付申請時点で期限が有効であること

見積りの有効期限には注意してください。なお、交付申請時点で有効な見積りであっても、交付決定時点で有効期限を過ぎていれば、後に取り直しになりますので有効期限はある程度余裕を持っておいたほうが良いです。
ちなみに、有効期限の記載がない見積もりであれば期限自体の設定がないため常に有効となります。

見積りに印鑑はなくともOK、ただし押印欄がある場合は必要

特に見積もりに印鑑がなくとも有効ですが、元々の見積もりのフォーマットに押印欄があるにも関わらず印鑑が押されていない場合は、追加で求められる場合がありますので注意ください。

建物費・機械装置・システム構築費に関しては単価50万円以上の場合は相見積も必要

再構築補助金に申請されている事業者のほぼ全ての事業者さんは建物費、あるいは機械装置・システム構築費を計上されていると思いますが、単価50万円以上の「建物費・機械装置・システム構築費」については必ず採用する見積もりに加えて相見積が必要です。(取得する設備が中古の場合、相見積はさらに1社で合計3社の見積もりが必要)

なお、建物費・機械装置・システム構築費以外の費目に関しては単価50万円を超えていても相見積は不要です。

相見積がなくとも交付決定されるケースも
基本的は価格の妥当性が求められるため、相見積が必要となりますが、特別な事情があり相見積が取れない場合は、選定理由書を提出することで相見積の提出が不要になるケースがあります。
例えば、①海外製品を導入するが国内総代理店のみが扱っているため相見積が取れない②当該設備を製造できる企業が選定した1社しか存在しない③フランチャイズ店の開店にあたりフランチャイザーの指定業者が決まっているなど。③に関しては若干微妙にも思えますが、僕の実績としてこれは認められました。
「既存の取引先で信頼がおけるから」のような理由は基本的にNGとなります。

建物費を計上する場合は設計図や見取り図が必要

建物建築の場合は設計図、改修の場合においても見取り図(事務局に確認したところ具体的な仕様は定まっていないようでしたが、一般的な解釈としては平面図など改修場所がわかる図面)が必要となっています。

見積りの詳細科目(内訳)は、採用見積りと相見積を完全に一致させる

特に建物費の場合、実務上普通はあり得ないと思うのですが、それぞれの見積もりの詳細項目(例えば資材●、●●工事など)が完全に一致していないと、せっかく交付申請を行っても、ほぼ確実に差し戻しとなってしまいます。ここは確実に合わせておく必要があります。

詳細科目の「諸経費」「会社経費」「一般管理費」「現場管理費」「雑費」など詳細が不明(さらに掘り下げないと客観的に意味がわからないもの)は対象外となります。
例えば現場管理費であれば、現場管理費(人件費×2日分)など一段掘り下げた表現が必要です。

事務局の指示に従いましょう
仮に「現場管理費」等、対象外とされている科目で提出していたとしても即座に対象外になることはありません。基本的には事務局から差し戻しを受ける際に「ここはこういう感じに直してください」とアドバイスが入りますので、指摘を受けたら再度見積もりを修正して提出しましょう。
ただし、差し戻しの都度、取引先に見積もりを直してもらうのも取引先の手間になるでしょうから、あらかじめ交付申請前にこのような曖昧な科目は潰しておいたほうが良いと思います。

実際、この見積もり及び相見積の記載で差し戻されるケースがかなり多くなっています。相見積を取得する場合は採用見積りと項目を完全一致させる、あいまいに取られがちな経費科目は極力具体的な項目名とする必要があります。

見積もり依頼書も交付申請時に必要に

【12月4日追記】
見積もり依頼書は、これまでも事業完了報告時には必要でしたが、11月末に更新された「補助事業の手引き1.3版」からは、交付申請時にも必要なルールに変更となっています。

参考様式6見積依頼書

(事業再構築補助金公式HP「参考様式集」より)

様式はあくまでも再構築補助金の事務局が参考様式として公表しているものです。これを利用しても良いですし、自由書式でも大丈夫です。

事業計画書(修正がある場合)

基本的に当初計画した事業計画書の費目を変更することはNGとされていますが、元々事業計画書にどこまで細かく経費を記載しているかは事業者さんそれぞれですし、例えば事業計画の主旨は変わらなくとも、機械の型番が変わったり広告宣伝の出稿先が変わったりすることはあると思います。今回の交付申請の時点で固めるという意味で、当初の事業計画書を詳細化する必要がありそうであれば、修正後PDFファイルにし、やはり【02_交付申請書】フォルダ内に作成した【Rxxxxxxxxx】フォルダに格納しておきましょう。

ちなみに・・・
交付決定後であっても若干の変更であれば変更申請なく補助事業を進めることが出来ます。
各費目間(例えば機械装置費と販促費の間)で、安価な費目の10%以内の額の移動であれば変更申請は不要。それ以上の変動の場合は変更申請が必要です。

事前着手承認されている場合は事前着手承認書のコピー

2021年11月25日現在、承認を受けている多くの事業者さんは事務局からの承認メールが届いているはずですので、この文面をwordなどにいったんコピーした後、PDFにし【02_交付申請書】フォルダ内に作成した【Rxxxxxxxxx】フォルダに格納しておきましょう。

なお、10月28日以降、事前着手承認は「J-grants」から電子申請する運用となっています。これから事前着手申請される方は、先ず「J-grants」から事前着手申請を行っておきましょう。

交付申請書別紙2は該当経費がある事業者のみ必要

技術導入費・専門家経費・クラウドサービス利用費・外注費・知的財産権等関連経費を計上する場合においては、別途【交付申請書別紙2】という書類を提出する必要があります。採択者向け資料「様式集(該当へリンク)」から様式を取得し作成後、【02_交付申請書】フォルダ内に作成した【Rxxxxxxxxx】フォルダに格納しておきましょう。

ということで添付ファイルを集めると大体こんな感じに

これまで色々と事業者さんごとに可能性のある添付ファイルについて説明してきましたが、概ね代表的なパターンとして添付ファイルを集めた【Rxxxxxxxxx】フォルダはこんな雰囲気になります。
※事業者さんそれぞれ必要なファイルは異なりますので、必要に応じ添付ファイルを収集・作成してみてください。

経費ごとに大番号を付与し、枝番号として見積もり依頼書(01),本採用(02),不採用(03)のように付番しておくと見やすくなる

ファイル名称は、事務局が「スッとわかる」ように!

揃える添付書類、特に見積もり関係については書類が多岐に渡ります。提出時に「明確な名称ルール」はありませんが、J-grants操作マニュアルには、ファイル名についてこのような記述があります。

J-grants操作マニュアル第4版_Ⅱ申請方法2-6交付申請,より抜粋

 

あくまでも「協力レベル」ではあるのですが、作成したファイルは最低限それが「何のファイルなのか」がわかることが重要で、出来れば各ファイルには付番をしておくなど、整理されておいたほうがより良いですね。

【ちょっとしたコツ】修正メモの作成

このファイル類の中の「00_修正メモ」は必須ではありません。あくまでも差し戻しがあった場合、事務局の誰からどんな指示を受け、どう修正したかをメモしておくためのものです。

メモとして修正履歴を残しておく

 

幾度か差し戻しがあった場合、いつ何を修正したのか、自身でも把握しておくための備忘録となります。事業再構築補助金は添付資料が多岐に渡ることも多いため、このように備忘録で整理しておくのも、スムーズに交付申請を進めていくための一つの手かと思います。

以上、少し長くなりましたが、交付申請に入る前のこれらの準備は、その後のスムーズな交付決定に向け非常に重要な作業になりますので、しっかりと確実に揃えていきたいところですね。

【最終段階】交付申請書の書き方とJ-Grants申請方法はコチラ

 

有料総合テンプレート「再構築BASE」

「自分で書けるを支援する」をコンセプトに制作した事業再構築補助金テンプレート。単なる穴埋め式のテンプレート(雛形)ではなく「どう書くか?」までを徹底サポート!各項目ごとに「何故その項目を入れるのか(Why)」「どのように書くべきか(How)」までをしっかりガイドしています。また、簡単に計数計画が作成できる「計数計画シート」や「使える図説集」など、事業計画書を作成していく上で便利なツールもセットにした総合パッケージの決定版です。

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